Wednesday, July 30, 2008

漁業と燃料

平成20年7月30日    

【漁業従業者に対する燃油高騰補填について】

7月15日20万隻一斉休業で政府に対し燃油高騰分を補填して欲しいと言う全国漁業共同組合連合会による全国漁民大会を皆さんはどの様に受けとめられたのでしょうか?

石油急騰の影響を受けて居るのは漁民のみならず運送業界や航空業界更には一般消費者も製品の値上がりで大変な状況にありますから補填となれば全ての国民に対して行わなければ不公平だと私は考えるのです。

運送業界は過去4 年間に燃料代が2.3倍に膨らんだにも拘らずコスト上昇分を荷主企業に吸収して貰えず採算は悪化の一途を辿り2006年度には運送業者の52%が赤字で あったものが現在は60~70%の業者が赤字と言われて居ます。 荷主との力関係と62,000社を超える小規模事業者の乱立が運賃値上を許さないのが現 状です。

漁業のコスト上昇を魚の価格に反映出来ない状況は魚の需要の7割を占めるス-パ-や生協等の量販店の力が強い事に最大の原因があります。流通業者が客の値頃間を優先し生産コストの上昇分を吸収しようと言う姿勢が全くないのです。

又流通にあまりにも多くの業者が関わる為に流通コストが掛り過ぎる事も大きな問題です。 更に海外から魚介類が大量に入って来て居り国内業者の漁獲した魚介類の全需要に占める比率は50%近くに減少して来て居り海外からの安い価格と対抗する為値上げが仲々出来ないのです。

日経によれば魚介類の小売価格に占める生産者の受取額は24%にすぎないと言うのですから流通面を合理化する事によって生産者の受取額を大幅に増やす事が出来るのです。 最近生産者が消費者に直接販売する動きが出て来て居ますがその様な自助努力に加え現在の流通制度の改革が急務と思われます。

一方である程度の支援も必要で政府の今回の補助金支出は海外の動きも参考に補正予算を組んだ結果と思われます。 韓国では燃料費が一定の基準を超えた場合超過分の50% を政府が補助するとの事ですしEU(欧州連合)では漁業経営体あたり3万ユーロ(約500万円)の助成が認められて居た物を3ヶ月の休漁手当に加え漁業補 助金の上限を3万ユ-ロから10万ユ-ロ(約1,700万円)に引き上げる措置や省エネの為の船舶改良の費用を低利融資することもEU内各国の合意を得て 年内に実施するとの事ですから今回の政府の決定は仕方のないところかもしれませんが我々消費者もある程度の値上りを受け入れ日本の漁業がこれ以上衰退しな い様支える必要があると思います。

井上  出

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