Wednesday, June 21, 2006

イノさんの文箱 (2006/6/19~20)

「インドのカースト制度について」

1947年インドは英国から独立しましたがその際制定した憲法でカ-ストによる差別を禁止しました。 併しインド社会にはカ-スト制度は今も残って居り結婚や職業の選択に際しては差別が見られます。

紀元前1500年頃にインド亜大陸に北から移動して来た肌の白いア-リア人が肌の黒い先住民族を征服し、肌の色によって国民を区別したのがカ-ストの始まりと言われて居ます。

バラモン(僧侶)が最上位で続いてクシャトリア(軍人、貴族)そしてバイシャ(商人)、シュ-ドラ(隷属民)そして最後にダリット(不可触民)と5階層に分けられて居るのです。

カ-スト制で差別されて来た階層を優遇すると言う政策はインド独立以来行われて来て居り、被差別層の中からも政治家や医者そして経済人は生れて来て居ますがカ-スト制は相変らず生きて居るのです。

先日インドの教育改革で世論が分裂して居ると報じられて居ましたが、これは国立大学入学定員の半数を被差別者の為の特別枠にすると言う新制度導入をめぐって起きた差別者側の抗議で、彼等はこれは逆差別だとしてこの制度の廃止を求めて居ます。

大部古い資料になりますが1991年のインドに於ける国勢調査では、識字率はインド全体で52.21%と11億人の総人口の1/2は読み書きが出来ない様な状況がインドにはあります。 そしてこれが2001年の調査では65.38%に上昇したと言うのですからこれは結構な事だと思います。 大部改善されて来て居ると言う事です。

併し抜本的な差別解決策が生れない限りカ-スト制度は続き、インドは先進国への仲間入りは果せないのです。

井上  出    (06-06-19)

* * * * *


「米国産牛肉輸入の問題」

小泉首相の訪米までに米国産牛肉輸入再開の決定が行われるであろうと言われて居ましたが、案の定再開が決定し7月下旬から実際に輸入が始まる事になりました。 我々消費者としては購買拒否(不買運動)で米政府の強硬な姿勢に対抗する必要があると思います。 その為に消費者団体が結集し不買運動開始して貰いたいと思います。

中国政府は4月中旬の閣僚協議で米国産牛肉の輸入再開の合意を発表しましたが、BSE対策や再開時期などの細部で詰を残して居り今のところ何時輸入再開するか不明と言う状態にあります。 中国も日本同様BSEの危険部位とされる背骨の除去など出荷体制の整備を米側に強く求めて居ますが未だ結論に至って居ません。

香港も2度に亘る背骨の混入事故から現在も輸入禁止状態にあり日本が米政府の圧力に負けアジアで最初に輸入再開に踏み切る国になりました。 5月中旬に日米専門家会合が東京で行われましたが日本側は米側から提出された報告書は不充分として不満を表明して再提出要求をして居ますが、未だ納得出来る様な内容に達して居ないにも拘らず電話会議で最終結論を出したと言うのですから実にお粗末な話です。

こんな時期牛丼チエン大手の「すき家」等を展開するゼンショ-の小川賢太郎社長は、米大手食肉加工会社3社の牛肉処理場を視察した際の感想を次の様に述べて居ます。

「やっぱり米国の現状は変って居ない。 日本は韓国より安全の基準が低いと言う事かな?」、この発言の裏には日本以上に米国への依存度の高い韓国ですらも米国産牛肉輸入の再開をして居ない情況があります。 韓国も香港も中国も輸入再開して居ないにも拘らず日本が7月から解禁すると言うのはやはり米国の植民地だからだと言わざるを得ません。

他の事と違って我々の生命にも関わる問題であるにも拘らず、米国政府の圧力に負けて国民の生命を守る事を忘れた日本政府に我々は怒りをぶつける必要がありますがマスコミもどうした訳か沈黙したまゝです。

前述のゼンショ-の小川社長によれば訪問した米国の大手食肉加工会社3社の処理場はチャップリンの「モダンタイムス」さながらのスピ-ド処理で、背骨から左右に真っ二つに割られ枝肉となった牛の体が猛スピ-ドで動き廻り互いにぶつかり合って居てBSEの感染危険部位である脊髄を従業員が掃除機のノズルの様な物で吸い取って行くがその時間は2秒程度と言うのですから、充分に脊髄は除去されて居らず肉にはゼリ-状の脊髄から流れ出した液体が付着して居たと語って居ます。

飛び散る牛の体液を避けながら小川社長が脊髄の除去作業に追われる従業員に話し掛けたところその従業員が、「テレビカメラが来れば3人に増えるけれど普段は一人で処理して居る」と苦笑して居たと言うのですから、普段は2秒以下で脊髄除去が行われて居ると言うのですから形式的に行われて居るにすぎないのです。

小川社長が視察した3工場の社長の中には「BSEのリスクがないとは言わないが日本人が河豚に当る確率よりは低いだろう」等と発言した男が居たと言うのですから実に人を馬鹿にした話です。

小川社長は更にこう言って居ます。 「BSEの潜伏期間は長い。 第2の薬害エイズになる恐れがある。 安全が証明出来ないものが入れば消費者の牛肉離れも加速しかねない。 政府は現場を十分見るべきだ。」

こんな状況の中7月下旬から米国産牛肉は日本に再び入って来るのです。

井上  出    (06-06-20)

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