Monday, September 08, 2008

米国景気

平成20年9月8日   

【米国景気回復来年後半も困難】

福田首相の退任は日本経済にも少なからぬマイナス影響を与える事は間違いなく当然の事ながらドルに対し円安に振れるであろうと経済評論家たちは読んで居る様ですが現実には大きな円安の動きはありません。 その理由は米国の景気の方が日本以上に悪化して居るからです。

先月29日にジョ-ジア州の地方銀行インテグリティ・バンクが倒産しましたがこれは今年に入って10行目の破綻です。 2002年に12件の破綻がありましたがその記録を今年は間違いなく追い越すであろうと言われて居ます。 そしてこれは全てサブ・プライム・ロ-ン問題が引き金になって居るのです。

当初は支払能力の低い所得層への貸出の焦げ付きであったものが中間所得層までもロ-ン返済不能となり家を手離しはじめて居る事から今年一杯はサブ・プライム・ローンのみならず一般的な住宅ロ-ンに迄不払いが広がる模様です。

米不動産調査会社リアルティトラック社が8月14日に発表した調査結果によると7月に米国で住宅ローン返済が滞って差し押さえを受けた件数は272,171件と前年同月比55%の大幅増となったと言うのです。

日本と違い米国では返済不能になった人は購入した物件を銀行に渡すだけで日本の様に購入時の価格と手離す際の相場との差額を返済する必要が一切ない為銀行は競売してもその差額を負担しなければならない為全ての銀行が大変な損失を出し続けて居るのです。

しかも競売にしても売れ残るケ-スが多く銀行は売れ残った住宅の管理・補修に多額の費用が必要となりその為に資金不足に陥る地方銀行が殆どなのです。 現在銀行管理下にある住宅数は75万軒以上と言われて居ますからこれは大変な数字です。

加えて米国では7月の倒産件数が5,600件に急増して居りこれは前年同月比で57%増と言うのですから個人消費の冷え込みを反映して居ます。 特に小売業・外食企業の倒産が目立つと言う事で日本同様銀行の貸し渋りの影響も大きいと思われます。 不動産関連企業の倒産も続いて居る様で景気回復どころではない状況が今年から来年前半迄続くと思われます。

井上 出

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