イノさんの文箱 (2007/04/13)

平成19年4月13日

「カレ－店チェンCOCO壱番屋創業者宗次徳二氏(58才）」

70才にして未だ引退どころではなく毎日馬車馬の様に働かざるを得ない私等には夢の様な話ですが宗次徳二氏は58才にして既に悠々自適の生活を楽しんで居られます。

宗次氏は実の両親の顔を知らず児童養護施設に預けられた後養父母に引取られたのですがおんぼろアパ－トで夜はロウソクで暮す様な極貧の生活の中で育ったと言うのです。

その養父は毎日競輪場通いで、それに愛想をつかした養母は家出と言うのですから大変な幼児期を過した訳ですが貧乏暮らしを不幸と思った事は一度もないと言うのですから生来の楽天家で全てをプラス思考で受け止め生きて来られたのでしょう。

この宗次氏は2002年にハウス食品に持株を売却し20億円と言う大金を手にしたのですがその時共に苦労してCOCO壱番屋を育て上げた奥さんの直美さんと二人で「これは私達のお金じゃなくて、一時預かり金」と考え社会の為にこのお金を使うと言う事で意見が一致したと言うのですから奥さんも素晴しい方だと思います。

高校2年の時にTVから流れて来た故岩城宏之指揮のメンデルスゾ－ンのバイオリンコンチェルトに心を奪われそれ以来クラシック音楽は常に身近にあり心を癒して呉れた事から今3人の演奏家にストラディバリウスを貸し出す準備をして居り今迄に10億円近いお金をバイオリン購入に投じたと言うのです。

バイオリニストの五嶋みどりさんの弟の龍さんには「ストラディバリウス」を無期限で貸与して居ると言うのですからクラシック音楽への肩入れは半端ではありません。

持ち株を手離して得た20億円は一時預かり金であるとしてそのお金で名古屋市の繁華街に若い演奏家達に発表の場を与えもっと多くの人にクラシックに接して貰いたいとして建設したクラシック専用の「宗次ホ－ル」は今年の3月にオ－プンしそれに前述の20億円に更に数億円を加えた金額を投じたと言うのです。 しかも会社は自分の息子ではなく苦労を共にした叩き上げの社員に引継いだと言うのですから正に経営者の鑑と言えましょう。

4月12日付日経新聞夕刊の「新マネ－考」の記事に感動し、その内容を要約し御紹介しました。

井上　出　　　　(07/04/13受信）